日記

金も何もないけど、文字だけは書ける訳ですね。

11/21 そのに

「恋する寄生虫」という映画を見ました。

原案小説のファンで、原作者である三秋縋の作風を主観で語るなら「透明度の高さ」にあると思っています。

社会不適合者だったり。はたまた失敗続きの人生で曇った様な人間だったり。そんな人間が、同じく世捨て人であるヒロインとファンタジックな何かが起こり、愛を営む。明日死んでもおかしくない不安定な人間が右へ左へと揺れながら生きていく。

最後は望まれたハッピーエンドじゃ無かったとしても、静かな暖かさを感じ取れる作風です。


これはファンタジックな何かしらでも無いと愛を営む事なんて到底出来ない、とも受け取れます。秒速5センチメートル君の名は。の違いとでも言いますか、私の様な人間は、怠惰に暮らした先の虚無にある公園のベンチで、ふと天使の様な少女が空から降りてきて笑いかけてくれないかなあという事ばかり考えている訳です。

そんな、どうしようもないオタクの妄想を、痛みを知覚させながら昇華してくれる。就職させてください。


という訳で別に映画なんて作れやしないし演技もできない男が一丁前にレビューをする話。本題です。


上記の様な作品が見たい人ならあんまオススメしないです。恋愛物として見たらどうだろう、くらい?あまり恋愛映画を見ないし、そもそも映画もろくに見ないのでそこはTwitterででも検索してください。このブログにはアマギフだけ置いていってください。


本作は潔癖症の主人公と視線恐怖症のヒロインの物語です。

まず病的なまでの潔癖症の表し方として、自分の手や他者の顔、触れた家具に肉肉しかったり、細菌が広がっていく様なおぞましいCGが膨れ上がっていくのはどれ程までに病的か、という物で表すのは面白いな〜と思いました。

次に視線恐怖症。こちらが結構ショッキングな表し方だな、と思いました。苦手な人はだいぶ苦手そう。

他人の目元だけを切り取り不自然に引き伸ばした様に描かれたせいで、人間が怪物の様に見える。それは写真でさえも。

一般的な2次元キャラはどうしても現実の人間と比べれば目が大きく描かれているけれど、現実の人間がこれに置き換わる恐怖感は中々の物です。


寄生虫のCG演出が彼岸花のようだったのも素敵でした。墓場の周りによく咲かれているのを目にしますが、土を荒らすモグラなんかから墓を守る為に毒性の根があるこの花が植えられている、とかなんとか。

死を連想させ、彼岸花の畑は一種の楽園と見紛う。花言葉は「あきらめ」なんかがあるらしいですよ。まさしくピッタリな演出は、とても美しい。


ここからちくちく言葉を使います。許してね。


原作と違う点を大きく上げるなら結末部分ですが、これが受け付けなかった。

日本中のカップルをクリスマスに大混乱させてやろうと、感染した端末のインターネット接続を全て遮断するウイルスを密かに製作していた主人公。ある日、自宅に突然謎の男が押し入ってくる。脅迫をされ、告発をしない代わりとして言い渡されるのが先のヒロインの心を開かせるというもの。このウイルスですが、映画での役割があまり感じられなかった。

これ別にコンピウタウイルスである必要なくない?となるくらいには。

詳しくは各媒体ネタバレ防止の為に口を閉ざしますが、恐怖を表すCGに対してパンチが弱かったな…となる作品でした。


原案と映像化に向けたターゲットは必ずしも一致してなくて、僕はまたしても世間との感覚のずれに置いて行かれてしまったのか……となるなんとも言えない辛さたるや。

個人的にめんどくさい人間及びあんまり理解できなかった方には原作及びコミカライズ、捻った恋愛映画を見たいなら映画かなというお話でした。小松菜奈可愛かったしね。結婚おめでとうございます。

足が痛いので寝ます。沢山歩きました。連れ出したけど着いてきてくれた友人に感謝。金は今日も無い。